2021/07/11 09:00


こんにちは、へそねこ店長です。
さてさて皆さま、ブルゴーニュワインは、お好きでしょうか。

古くから高級ワインの名産地として名高いフランス・ブルゴーニュ地域ですが、その中でも優れた作り手のひしめいているシャサーニュ・モンラッシェに、一際注目されているドメーヌがあります。

その歴史は、19世紀のオーギュスト・モローまでさかのぼります。ベルナールが1960年代に相続し、基礎を築き、2000年より、息子の4代目アレクサンドルとブノワ兄弟がドメーヌを運営しています。アレクサンドルは栽培で、ブノワは醸造を担当しており、うなぎ昇りに各地から好評を得ていました。

モローの白ワインは豊富なミネラル感とキレが特徴であり、特に村名ワインのシャサーニュ・モンラッシェは、とてもコストパフォーマンスに優れた逸品。赤ワインもまたエレガントな味わいとなっており極めて上質な味わいです。

今回はそんなシャサーニュ・モンラッシェのトップクラスとして名高い、ベルナール・モローについてご紹介していきます。

著名人によるモローの評判


有名な作り手が多いシャサーニュ・モンラッシェの中でも、着実に評価を積み上げている、ドメーヌ・ベルナール・モロー・エ・フィス。

その中でも著名な評論家たちの言葉を少し紹介いたします。

まず、「パーカーポイント」という評価基軸を作ったロバート・ パーカー氏が創刊したことで知られるワイン・アドヴォケイト誌のブルゴーニュ担当であるニール・マーティンは、2014年の2月号で「シャサーニュ・モンラッシェには、非常に多くのモロー家の分家があるが、ベルナール・モローは最高の1つ。今後の行方に期待して欲しい。ここのワインはトップクラスだ」と評価しています。

また、ブルゴーニュの権威であるマスター・オブ・ワインであり、ブルゴーニュに精通した評論家として有名なクライブ・コーツ氏からも「過去10年で品質が向上した。非常に良いワインだ」との評価を得ている。

このように、年々評判の高い、期待されているドメーヌであることは言うまでもありません。


リュットレゾネ(減農薬栽培)と人為的介入を排した醸造スタンス


このドメーヌは、敢えて剪定をすることにより収穫量を落として、減農薬栽培(リュット・レゾネ)をしています。また厳しく選果を行った後に、空気圧式圧搾機を使い、自然酵母だけで発酵されています。

ラッキング(滓引きをして固形物を取り除くこと)やバトナージュ(熟成中のワインをかき混ぜて滓を出すこと)もできる限り行いません。そうして出来上がったワインは、濃厚さとエレガンスさを兼ね備えているアペラシオンのいわば見本です。このドメーヌの知名度は、実力に比べて低すぎるのではないかとも言われているほどです。

彼のワインは、赤ワインも白ワインも優れているとの評価を得られていますが、白ワインでトップを行くのは、1樽の分量のみであるバタール・モンラッシェを除けば、シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエ・クリュのモルジョ。非常にキレが良く、柑橘系、アプリコットの香りと綺麗なミネラル感に縁取られています。

また、村名のシャサーニュ・モンラッシェはお買い得ワインの代表です。また赤ワインも、他生産者のシャサーニュ・モンラッシェの青臭さや野暮な風味とは無縁で、上品に仕上げてられたワインとなっています。

シャサーニュ・モンラッシェ


とても可憐なワインで、温かいパンやシトラスオイル、桃や白い花の香りがだんだんと露わになっていきます。フルボディでありつつ、非常に滑らかな舌触りとほどよい凝縮感で、くっきりとした後味が広がっていきます。

数々の評価誌による近年のワイン評価


こちらのドメーヌは、パーカーポイントにとどまらず、 バーグハウンドやジャンシス・ロビンソン等からの高評価も得ています。

ちなみにバーグハウンドというのは、ロバート・パーカー氏と並んで影響力のあるワイン評論家の一人であるアラン・メドウズが出版している評価本で、ブルゴーニュを中心にピノ・ノワールワインの評価の権威と言われています。

またジャンシス・ロビンソンは、ワイン製造業者や販売業者以外で初のマスター・オブ・ワインの称号を得たジャーナリストの女性であり、2010年に訪日した際、甲州ワインに関する講演会を行った人物です。彼女には数々の名著がありますが、1994年刊行の『Companion to Wine』と2012年刊行である『Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, including their Origins and Flavours』は、ワイン関連書籍の中でも特に画期的な名著とされています。

そんな彼らも、同様にこのドメーヌの様々なワインに高得点をつけています。


最後に、2018ヴィンテージに関してワインアドヴォケート 2020/1/10 に掲載された記事を紹介します。

この年の温暖な気候を考慮し、収穫に後れをとることを懸念したアレックスとブノワ・モロー兄弟は、2018 年 8 月 30 日に収穫を開始し、ワインのアルコール度数は 12.15~13.3%に収まったと報告している。

2018 年は、モローにしては収穫量の多い年で、プルミエ・クリュや古樹の畑も例外ではなかった。モローの代表的な 1 級畑シュヌヴォットですら 1ha あたり 62hl もの収穫量が得られ、ここ 20 年で最も豊作となった。白ワインの殆どは、2019 年 1 月に発酵を開始し、同年 7 月まで続いた。
モローのワインを最高の状態で味わうため、この年もブルゴーニュのドメーヌを巡る旅の最後にドメーヌ・モローを訪れた。2018 年は、若々しくも実に見事な味わいを呈し、2017 年よりも早く飲み頃を迎える早咲きのヴィンテージだが、美しくバランスがとれている。シャサーニュ・モンラッシェで最も興味深いテロワールをいくつか回ろうと考えるならば、モロー以上に良質な生産者は思い浮かばない。14 ヘクタールの畑を有するこのワイナリーの成功の礎となったものは一体何なのだろうか。昨年も述べた通り、ドメーヌ・モローは 2 人の兄弟の間で大まかに仕事分担が決められており、ブノワがブドウ栽培を担当する一方、アレックスがセラーでの仕事を担っている。ブドウ畑では、殺虫剤は一切使わず、有機肥料のみを使用している。セラーでは、発酵期間とシュールリー熟成の期間を長めにとり、バトナージュはしないのがアレックス・モロー流で、熟成の仕上げをステンレスタンクで行い、この際に軽く清澄処理を施すことが多い。新樽は、その殆どをフランソワ・フレール社より仕入れ、選定は慎重に行っている。場所により個性の違いが引き立つ美しくバランスのとれたモローの白ワインは、今日生産されているブルゴーニュの白ワインの中でも最高峰にある感動的な味わいであり、この年のワインも心から読者にお勧めしたい逸品揃いだ。」(※ワインアドヴォケート 2020/1/10 掲載分より引用)


毎年質とともに評価が上がるという、まさに新進気鋭のドメーヌ。

もしもベルナール・モローについて少しでも興味が湧いた方は、ぜひ迷わず購入してみることをお勧めします。